一番最初に漫画を読んでいたので、思い出しながらさらさらと読めました。
展開を知っていたってだけではなく、純粋に文章が読みやすいです。見習いたい。
大まかな話としては、引きこもりの佐藤君とそれを救おうとする天使岬ちゃん、引きこもり仲間の山崎とのドタバタ劇です。
そのドタバタが最高に痛快で最高です。エロゲーを作り、ロリコンになり、ドラッグをキメ、宗教団体に入り込み、予測不能過ぎでしょ。
僕自身、ぐだぐだ過ごしている大学生だから感じるのですが、一応引きこもりではなく順調にやっていっておりますが、ドロップアウトする機会はいくらでもあり、いつ佐藤君のように引きこもりになっていてもおかしくなかったと思っています。
授業は5回まで休んでも大丈夫だし、拘束時間は少ないですし、親元を離れての一人暮らしをすると、自由に慣れていないうちは、自分を甘やかしがちになってしまいますから。
だからこそ、佐藤君にどこか親近感を覚えると言いますか、パラレルワールドの自分のように読めました。
あとは、非日常はつい近くにあるということも感じました。
学校に行かなくなり、恨み辛みを撒き散らし、一日中家に引きこもるというのは、僕にとっては非日常ですが、ほんの少し勇気を振り絞り人生をぶん投げたら現実になってしまうのですよ。
以下ネタバレ含む。
天使かと思っていた岬ちゃんは、自分より底辺な人間を見て安心するゴミクズ
ちゃんと名前の由来がラストの伏線になってて、回収した時におおってなりました。
実際岬ちゃんは悪くないのだよ。
周りの人の信じる神が信じきれなかっただけなんですよ。
クライマックスの時の描写力がすごい。
滝本竜彦さんの他の作品で「ネガティブハッピーチェンソーエッジ」も高校生のときに読んだのですが、これもクライマックスのバイクでヒロインの元に向かうシーンが熱いのですよ。
へんな説得力がありますよね。
全てNHKが悪いという責任転嫁落ちでしたが、それで楽になるのだったらそれでいいですよね。
NHK=日本引きこもり協会=仮想敵=世界
世界を倒すには自分が死ぬしかない。
それが嫌だからせめて全て世界のせいにして色々背負い込まないように。
この本を読んで少しだけ楽になれた気がします。
テレビとかで、引きこもりはダメだダメだと言うコメンテーターさんとかにこの本読んでもらってちょっと、引きこもりの人の心情とか葛藤とかを少しでも理解してほしいなとか考えました。
文庫版の後書きに、この小説のせいで頭がわーってなって小説を書けなくなってしまったみたいなことを書いていましたが、発行されてたのが単行本の発行が2002年、文庫版が2006年。
おぅ・・・4年間の空白。
おいたわしや・・・
それだけ魂を込められたのですね。
魅力的な話を書かれる、才能豊かな人であると思うので、ゆっくりでいいので新しい話を書いてくれることをひっそりと願っております。
日本三大奇書の一つ(笑)滝本竜彦著「NHKにようこそ!」読了
— alaki paca (@arabiiiiiiiiiii) 2016年4月5日
結局全てはNHK=仮想敵=世界が悪い。
後書きでも作者が言ってたけど、この作品がメジャーになって引きこもりの若者の心を理解する人が増えればいいなと思いました。 pic.twitter.com/QsEiVJIxHk